コーティング技術解説コラム
薄膜を作るには

薄膜とは

薄膜はその薄さから、薄膜のみでは存在できません。
薄膜は、支持体(基材や基板)の表面に付着する形で存在します。その特性は、支持体の性質や表面の状態に大きく左右されます。
また、例えば、ドライコーティングの真空蒸着やスパッタリングで形成する薄膜は、およそ0.0001μm(=0.1nm=1Å)の大きさの原子が、数十~数百の層で構成されていて、その薄膜の厚みにより物性が変化します。
したがって、薄膜の物質、支持体の性質や表面状態、薄膜の厚みにより、機能の発現に大きな可能性を秘めています。

ドライコーティングで形成する薄膜

例えばフィルム基材、数μm~数百μmの厚みに対し、0.01~0.5μm言い換えれば10~500nmの金属などのコーティングを行う。その極めて薄いコーティング膜は、数百の層の原子で構成されていて、厚みにより物性が変化する。そのコーティングを目的・用途の機能に応じ、均一に膜の厚みをコントロールする技術は、まさしくナノテクノロジーと言えます。また薄膜は、極めて薄い金属などの層であり、金属などの総量も極めて少なく、基材を廃棄処分する際に薄膜が与える影響は少なく、環境にも優しい性質です。

薄膜を形成する基材・基板と薄膜の関係

基材・基板の形状、成膜時の状態による分類
バッチ式 静止した基板の表面に薄膜を形成
Roll to Roll
(巻取り式真空蒸着)
長尺(最大で約70,000m)のロール状に巻いた基材(フィルム、金属箔など)を連続に走行させながら、基材表面に薄膜を形成
ドライコーティングしたフィルムの利用

単位換算表(長さ/厚み)

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メートル ミリメートル マイクロメートル ナノメートル オングストローム
1m 0.001m 0.000001m 0.000000001m 0.0000000001m
1,000mm 1mm 0.001mm 0.000001mm 0.0000001mm
1.000μm 1μm 0.001μm 0.0001μm
1,000nm 1nm 0.1nm
10,000Å 10Å