コーティング技術解説コラム
薄膜を活かす、使う

イオンプレーティング技術

イオンプレーティングとは、真空蒸着技術とプラズマ発生技術をドッキングさせた複合技術である。真空蒸着で気化(蒸発、昇華)させた成膜材料(金属、金属酸化物)の粒子(原子・分子)を、グロー放電によるガスプラズマでイオン化または励起し、通常の真空蒸着と比較して1~2桁高い運動量を持つ活性化した高エネルギーの粒子として成膜できる技術である。

特徴
イオンプレーティング
  • 成膜材料の高エネルギー粒子で、基材への密着力を向上
    また、マイグレーション効果により緻密な成膜
  • 緻密な膜で、光学、ガスバリア、電気特性などを高機能化
反応性イオンプレーティング
  • イオン化された成膜材料の気化粒子で反応性が高く、反応性ガスの導入よる化合物の生成が容易
  • 有機ガスを導入し、無機物を蒸発気化させると、有機‐無機の混合膜、積層膜の形成が可能
イオンプレーティング方式
直流・高周波放電励起方式(DC・RFイオンプレーティング)
イオン化方法 気化した成膜材料をガスプラズマでイオン化
膜の密着力UP/反応性の促進/結晶性良
中空陰極法(ホロカソード(HCD)法)Arc-plasma Ion Plating Deposition
イオンビーム方式 電子ビームで、成膜材料の気化とイオン化を併用
高密度プラズマの高エネルギーで密着性と反応性を向上

イオンプレーティングの活用

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方式/目的 導入ガス 成膜材料 成膜組成 薄膜の応用例
イオン
プレーティング
強密着・高密度
Ar Al 密着力の向上
緻密な成膜
膜特性の高機能化
Ag
Cu
反応性イオン
プレーティング
化合物の生成
O2 Al Al2O3 バリア、表面硬化
Ni NiO 磁性
Ti TiO2 光学、光触媒
Si、SiOx SiO2 バリア、光学
ITO ITO 透明導電
Zn、ZnO ZnO 透明導電、光触媒
N2 Ti TiN 表面硬化、光学、熱線反射
有機-無機複合膜 シクロヘキサン Si、SiOx SiO2+ポリマー 耐絶縁性、光学可変
C2H4、CF4、他 MgF2 MgF2+ポリマー 光学可変、耐食性