コーティング技術解説コラム
薄膜を活かす、使う

真空蒸着(巻取り式)

巻取り式真空蒸着

およそ10-2Pa程度に減圧した真空層内で、巻きコアに巻かれた長尺の基材を、巻出し軸と巻取り軸の間を連続的に走行させる。この間、基材を冷却する回転クーリングローラーに密着させながら基材表面に、加熱・蒸発させた金属や酸化物などの成膜材料の蒸気粒子(原子・分子)を付着・堆積させて薄膜を形成する加工技術。

巻取り式真空蒸着装置図

特徴
  • 成膜材料の加熱・蒸発で、大量の蒸発が得られ、加工速度が速い。
  • 蒸発源の形状ならびに複数配置により、大きな基材幅への加工が可能。
  • 高真空域での加工であり、成膜材料を高純度で成膜できる。
  • 加熱方式により、低融点~高融点までの成膜材料に蒸着対応が可能。
  • 成膜材料の溶融・昇華による加熱蒸発であり、単体物質の蒸着となる。
  • 蒸気粒子のエネルギーが熱のみであり、蒸着膜の付着力がやや劣る。
加熱方式
①抵抗加熱 比較的低融点材料の蒸発用
②高周波誘導加熱 比較的低融点材料の蒸発で、ピンホールの少ない成膜が可能
③電子ビーム加熱 高融点材料のハイレート蒸発が可能

成膜材料
金属 Al,Ag,Au,Ti,Ni,Cr,Cu,Sn,In,etc.
酸化物 Al2O3,SiO2,etc.
対応基材
プラスチックフィルム PET,PP,Ny,PMMA,PC,TAC,フッソ樹脂,ウレタン,PEN,PI,PEEK,PPS,PEI,PVA,ポリ乳酸樹脂,etc.
金属箔 Al,Cu,etc.
その他 紙,和紙,クラフト紙,不織布,布,etc.