技術・研究開発
Technology/R&D

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薄膜(thin film, thin layer)

厚さ数μm以下の、極めて薄い膜・被膜を薄膜という。薄膜は極めて薄く、基材・基板(支持体)の表面に形成される。
例えば、金を0.1μmの金箔に延伸した膜などと、薄膜を区別することもある。薄膜は、成膜材料の原子・分子を基材・基板の表面に付着・堆積させて形成した極めて薄い膜で、延伸した膜では得られない特性がある。
また、薄膜の厚みや基材・基板の違いなどでも特性が変わり、多様な機能の開発・利用が可能である。

反応性ガス(reactive gas)

反応性スパッタリングに導入使用する、酸素(O2)、窒素(N2)、メタンガス、などの反応性ガス。
反応性スパッタリングは、スパッタリングに使用する不活性ガス(主にアルゴン(Ar))に、反応性ガスを混入して化合物薄膜を形成すると、化合物ターゲットを使用する場合と比較して、組成のずれが起き難く均一で高純度の緻密な膜質になる。
また、反応性スパッタリングでは、大電力の投入が可能で高速成膜できるなど特長がある。

不活性ガス(inert gas)

周期表第18族のヘリウム(He)・ネオン(Ne)・アルゴン(Ar)・クリプトン(Kr)・キセノン(Xe)・ラドン(Rn)のことを言う。
希ガス、稀ガスや貴ガスと呼ばれることもあり、化学的に非常に不活性で、かつては化合物が知られていなかったため、不活性ガス類と呼ばれた。
ドライコーティングの、スパッタリングに不活性ガス(主にアルゴン(Ar))をイオン化して、スパッタ現象を起こさせる。

付着力・密着力(adhesion)

ドライコーティングで薄膜を形成する際、基材・基板と薄膜の付着・密着の強度を表す言葉。
ドライコーティングの真空蒸着やスパッタリングなどで成膜する際に、付着力・密着力を高めることは必須の条件である。

プラズマ(plasma)

物質は、温度が上昇すると固体から液体、液体から気体にと状態が変化する。また、気体の温度が上昇すると気体の分子は解離して原子になる。そして、さらに温度が上昇すると、原子核のまわりを回っていた電子が原子から離れて、正イオンと電子に分かれる。
この現象を電離と言い、その電離によって生じた荷電粒子を含む気体を、第4の状態、プラズマと呼ぶ。プラズマ状態は、電気的に中性である。

平均自由行程(mean free path)

一定の気圧状態にある気体の中で、気体分子が他の気体分子と衝突してから、また次の分子と衝突するまでの距離を自由行程という。そして全ての分子の自由行程を平均した値を平均自由行程という。
圧力状態が高いと分子密度が高くなり、衝突までの距離は短く、平均自由行程は短くなる。ドライコーティングの真空蒸着・スパッタリングでは、蒸発・飛散する成膜材料の原子・分子に障害がない真空状態が不可欠である。

膜厚(thickness)

ドライコーティングの真空蒸着・スパッタリングで形成する薄膜の厚み。(数μm以下の膜のことを薄膜と言う。)
単位は、μmの千分の1のnm(ナノメートル)を使う。(以前は、nmより十分の1のÅ(オングストローム)を使用していた。)
実際のドライコーティングで成膜する膜の厚みは、数十~数百nmである。(1μm=1000nm=10000Å)